2級技能士の試験の総評が面白い!!

 キャリアコンサルタントの試験は、国家資格と技能士があり、技能士はキャリアコンサルタントが国家資格化される前からある資格になります(難易度は国家資格→2級→1級)。

 技能士の試験には解答とは別に、採点官からみた総評が公開されています。総評は「論述試験」、「面接試験」と別々に記載されています。総評については、試験の合否判断とは一切関係ないとは書かれていますが、今まで試験対策をするときに「そうであろう」と感じている部分と合致する部分がありました。

 この通りに受験をすれば良いという理解になってしまうと、試験団体の意図から外れてしまうため良くありませんが、自分のキャリアコンサルタントの知識を確認するひとつの評価として捉えていただければ幸いです。

 なお、受験団体はキャリアコンサルティング評議会となります。JDCAではありませんので、その点はご注意ください。

2級技能試験 第30回 実技の傾向
https://www.career-kentei.org/wordpress/wp-content/uploads/2023H1G2_Jitsugi_Keikou1217.pdf

論述試験の総評

相談者がこの面談で相談したい「問題」について
・転記だけに留まり、要点をまとめた書き方ができていない

キャリアコンサルタントとしてあなたが考える、相談者の「問題」は何か
・問題の背景にある相談者の不安について触れた解答が少ない
・相談者に「わかってもらえた」と実感してもらうことは関係構築では重要な要素、相談者の真の問題を捉えていただきたい
・「自己理解不足」「仕事理解不足」「コミュニケーション不足」といった一般的な転職支援にもあてはまるような解答や、不足しているという根拠が事例からずれている解答が、これまでと同様に多かったことはとても残念でした

目標と具体的な方策について
・「指導する、教えてあげる」というような評価的な視点とも感じられる発言が散見
・この相談者に合致しないと感じられる理論の引用やアセスメントの活用に関する回答も多く見受けられた
・各種ツールを進めることは方策としては考えられるが、ツールありきになっていないか。先ずは相談者が今どのような状況にあるのかを検討した上でその時の状態や変化に合わせた具体策を考える

そのほか
・「傾聴」「価値観」「情報収集」などの用語で、キャリアコンサルタントであれば間違えてほしくない感じの誤りが多いことも気になりました

キャリア研究部の中の人の「ひとりごと」

 論述試験の国家試験と技能士試験は、出題方法がやや違うものの、解答すべき内容は共通するものが多いと考えています。そのため、2級技能士の総評ではありますが、国家試験でも参考となる内容となっています。

 相談者の問題とその支援策は国家試験でも問われる内容ですが、論述試験の勉強会に参加された方には、「自己理解不足」「仕事理解不足」は誰にでもあてはまる問題のため、相談者固有の問題を見つける方が良いかもとお伝えしていましたが、採点官からのコメントでも言及がありました。一般的な転職支援にもあてはまるというコメントから想像すると、相談者がなぜキャリアコンサルタントに相談に来たかという点について、考える必要があると感じました。

 「理論やツールは、キャリアコンサルタントとして重要であるが、相談者の状況を踏まえる」、これはつまり、積極的に問題点を克服できる状況にない時は、理論やツールで方向性を決めるよりも、相談者が自分自身を見つめ直し、まずは一歩前に踏み出すような支援が必要であると感じました。

面接試験の総評

基本的態度について
・必要以上に相談者を褒める場面をよく目にしました。お世辞との受け取れる「褒めすぎる」という行為は、相談者より上の立場で評価することになる、「純粋性」に欠くものと言える
・行き詰まると「他に何かないか」と今までの話とは別の何かを引き出すように相談者に求め、話が核心から遠ざかる

関係構築について
・良好な関係性を最後まで維持できないケースが散見。その多くが共感力に欠けており、キャリアコンサルタントの興味が相談者の話に登場する人物に向いてしまい、相談者の気持ちに応答できていない

問題把握について
・相談者の悩みの解決に一点突破で突っ込んでいくような場面が一部で見られた
・「仕事理解・自己理解不足、コミュニケーション不足、キャリアプランの不足」といった、先に決めておいた枠の中に収めようとする場面も依然として多く見られました 

キャリア研究部の中の人の「ひとりごと」

 面接試験の2級技能士試験は、ロープレの20分、口頭試問10分と国家試験と比べて、試験時間が長くなっています。ロープレには「具体的展開力」という評価項目があり、目標の設定が求められますが、国家試験では目標設定までは要求されていません。以下に評価区分とその内容のを転記いたします。「基本的態度」から「問題把握力」までは、国家試験の面接試験でも参考になる内容になっていると思います。

【2級実技(面接)試験の評価区分とその内容】
基本的態度:キャリアコンサルタントとして自分をありのままに受容し、言語・非言語で表現し、多くの場合、一致していること。また、必要に応じて相談者の個別問題に応じた支援(助言・情報提供等)を適切に行うことができること。

関係構築力:キャリアコンサルタントとして、相談者に対する受容的・共感的な態度及び誠実な態度を維持しつつ、様々なカウンセリングの理論とスキルを用いて、相談者との人格的相互関係の中で相談者が自分に気づき、成長するような相談を安定的に進めることができること。

問題把握力:相談者が表現した内容から、相談者が相談したいことを把握し理解するとともに、相談者が訴えている以外の相談者の問題を把握しており、推論の根拠も説明できること。

具体的展開力:相談者との関係性を意識しながら面談を進め、相談者の訴えを理解した上で適切な目標を設定し、キャリアコンサルタントとしての対応を適切に選択し、対応できることで、相談者に気づき、変化(問題に対する認知の変化、自分または重要な他者に対する認知の変化、自己の表面的な表現から内面表現への変化、具体的行動や意欲の変化など)が起こること。

国家試験の出題形式】から引用
ロールプレイでは、キャリアコンサルタントとして相談者を尊重する態度や姿勢(身だしなみを含む)で、相談者との関係を築き、問題を捉え、面談を通じて相談者が自分に気づき、成長するような応答、プロセスを心がけてください。

 褒めるというとは、相談者の自己効力感の向上効果があるとは思います。しかしながら、「30年同じ会社に勤務している」、「子育てをしながら働いている」という事実だけを聞いて褒めるというのは、採点官の総評に書かれているような、相談者より上の立場での評価、「純粋性」(自己一致)を欠くという形で相談者に受け止められることがあるかもしれません。

 「共感力が欠ける」ということは、判断や価値観がキャリアコンサルタント目線になってしまっており、相談者の考えや感情に対して正確に把握できていないということだと考えます。

共感的理解(引用元:キャリアコンサルティング 理論と実際)
話し手がどのように感じているか、考えているかを、できる限り正確に知ろうとすること。カウンセラーが理解したことを相手に伝えること、表面的に同調や同感するのではなく、話し手の「ものの見方・考え方」にそって理解しようとすること

 「「仕事理解・自己理解不足、コミュニケーション不足、キャリアプランの不足」といった、先に決めておいた枠の中に収める」という内容について、技能士試験は先に相談者の情報とその来談目的が公開される試験方式となっています。そのため、受験者は事前にシナリオを作成しておき、相談者をそのシナリオに誘導するように感じられたというコメントであると感じています。
 国家試験に関しても同じことが言え、相談者の会話と問題点・支援策が結びつかないケースなどに気をつけたいところです。

終わりに

 いかがだったでしょうか。来談者中心、純粋性(自己一致)・受容的態度・共感的理解、まずはこれらを大切にする必要があると感じています。また、相談者の表面的な相談内容に反応してしまうのではなく、相談者の真の問題を捉え、その問題に対して面談を展開させる必要があると思います。

この記事を書いた人

キャリア研究部IT管理者。

LEC福岡養成講座32期生。maru-works代表。本業はIT。ITを活用し、皆様のキャリコンに関する活動をご支援します。

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